「登山届って大事だよね」というお話。

御嶽山 47人死亡 戦後最悪の火山災害

2014年10月02日 01時06分

長野、岐阜両県にまたがる
御嶽山おんたけさん(3067メートル)の噴火で、長野県警などは1日、約40時間ぶりに捜索を再開、心肺停止状態で倒れていた遭難者35人を搬送し、全員の死亡を確認したと発表した。

今回の噴火による死者は47人となり、火山災害の死者数 としては、1991年と93年に計44人の死者・行方不明者を出した雲仙・普賢岳(長崎県)の火砕流被害を超え、戦後最悪の惨事となった。地元消防には、 亡くなった47人を上回る数の行方不明者情報が寄せられており、捜索は2日もほぼ同じ態勢で継続する。


御嶽山の噴火による犠牲者はついに1991年の雲仙普賢岳の噴火を抜き、戦後最悪の規模となりました。これまで位下界に搬送され死亡が確認された47人の他にも
新たな行方不明者の情報の存在や岩石の下敷きとなり今も救助を待っている方々がいる事を考えれば、今後犠牲者はさらに増えることが確実の情勢となっています。

御嶽山は現在に至るまで火山活動を続けており、有毒な火山ガスや噴石の危険のある中、消防・警察・自衛隊による決死の救助活動が続けられています。二次災害を避けるために
これまで何度も救助活動が中断されていることからも、如何に救助現場が困難な状況であるかを垣間見ることができるでしょう。遭難者と救助活動に当たっている方々の全員が一刻も早く安全に下山されることを祈るばかりです。


さて、御嶽山のような火山の噴火を含め、天候急変や滑落、あるいは急な体調不良や怪我など、山行には遭難のリスクがつきもの。
特に近年は遭難の件数が右肩上がりで、
2013年は1961年の統計以降初めて遭難件数が2000件を超えるなど、過去最悪を更新し続けています。遭難を避けるためには日頃から体調管理をし必要な技術・知識を磨くのはもちろんですが、いざ遭難してしまった時に自分の命を救う大きな鍵となるものは、なんといっても「登山届の提出」だと思います。

「登山届」別名「山行計画書」とは
  • 山域、日程
  • 登山メンバー全員の氏名、生年月日、住所、連絡先、緊急連絡先(≒実家)
  • 装備一覧
  • 食糧計画(山の上でどんな食事をとる予定か)
  • 登山ルート及び行動計画(何日の何時にどの地点付近を通過する予定か、何時にどこに下山する予定か、など)
  • 非常時にとる行動とエスケープルート(避難経路)
といった情報を示したもので、家族や警察に山行前に届け出る必要があります。いざ遭難事故が起こった時、警察などの救助者はこの登山届の情報を元に救助活動を展開することになるため、まさに命綱と言えるでしょう。

keikaku_01.png

登山届の例(
長野県警のHPより引用)


今回の御嶽山の噴火に際しても

御嶽山、登山届徹底されず 不明者の把握難しく

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO77797800R01C14A0CC0000/
2014/10/1 13:47     日本経済新聞 電子版

御嶽山には登山届を出さずに入った人が多く、行方不明者数の把握を難しくしている。


といったように、登山届を提出しなかった人が多いために被害の全容を把握することが難しくなっています。またどの辺りにどれだけ人がいるのかといった予測も立てられないために捜索範囲を広げざる負えず、救助活動を遅らせる要因の一つとなっています。


登山届を提出しない場合
  • いつ誰が山に入ったのか分からないため、遭難発生そのものに気づかれず、初動対応が遅れる

  • どの地点を何時ごろに通過するのか分からないため、捜索範囲が広がり、救助が遅れる
と言うリスクが非常に高くなります。より端的に言えば、登山届を出さずに遭難したら死ぬ可能性が高いということです。逆に言えば適切な登山届さえ提出していれば、逆算によって警察は遭難者や遭難地点を割り出すことができ、いち早い救助を受けることが可能になるでしょう。


また救助活動の遅れは、遭難者の死以外の別のリスクをも増加させます。それは「捜索費の増加」です。
山岳遭難ではまず公的機関である警察が動くことになりますが、この時消防や海保が海や平地で救助活動を行うのと同様に、警察の活動費は公費から支出されるため、遭難者や家族が捜索費用を負担することはありません。

「警察などによると、一般的に警察や自治体の職員、防災ヘリコプターなどが捜索・救助活動を行う場合は、費用は原則公費で賄われ、遭難者やその家族が負担することはない。」<
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130108/dst13010800500001-n1.htm>

しかし広大な範囲を警察や自治体の職員だけで捜索することは難しく、また一刻も早い救助が必要であることから、通常はその山域に精通した地元の山岳協会や、民間のヘリ会社にも捜索を依頼することになります。むしろ警察のみで捜索を行える状況は希だと言っても良いでしょう。この場合民間の救助活動費は全て、遭難者やその家族が負担しなければなりません

その活動費の内訳を見ると
  • 救助にあたる隊員の日当 一人一日当り 1万円~5万円
  • 救助活動の危険性(雪崩や荒天など)に応じた危険手当
  • 救助隊員の食費・交通費・宿泊費・消耗品の代金
などとなっています。仮に民間人一人の救助活動費を一日5万円だと設定して、5人が捜索に加われば一日で25万円もの出費となってしまいます。さらに民間のヘリを活用した場合、救助ヘリの燃料費ももちろん遭難者自身が支払う事となります。その相場は「1分間につき1万円」。捜索のために1日2時間ヘリを飛ばすだけでも、120万円もの巨額の費用が必要になることが分かります。


もし救助が1日と言わず半日でも遅れれば、何十万円いや何百万円と言った単位で出費が増えてしまうことに。登山届の提出は、生命のみならず、金銭的な意味でも自身を救うことになるのは火を見るより明らかです。死んでしまってはもちろんのこと、例え生きて帰れてもたった1,2ページ程度の登山届を書かなかったために何百万円もの大金を負担することになってしまっては、悔やんでも悔やみきれないというものでしょう。

登山届の書式は先に上げた長野県警を含め各都道府県警のホームページでダウンロードできるほか、
日本山岳協会のホームページなどでも公開されています。また現在では登山ポストに提出しなくても各警察署がメールでの登山届の提出を受け付けており、印刷して登山ポストに届け出る手間も省くことができます。

どんなに経験を積み、きちんとした装備を整えた熟練者でも、遭難する時は遭難するもの。気象の急転やガス(山で生じる深い霧)による視界不良、転倒や滑落、突然の病気は、それこそ全く珍しいことではありません。
しかし、もし少しの手間をかけることで遭難時のリスクを大幅に減らせるとしたら、その手間を惜しむ理由はないのではないでしょうか。日帰りだから、携帯で助けを呼べるからと楽観視せず、山行前には登山届の提出を心がけたいもの
です。
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