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「人道支援」がテロ組織を壊滅させる?

シリア人道支援に計4500億円 国連会合で各国、日本も拠出

04/01 00:50 
【カイロ共同】泥沼化するシリア内戦の人道危機に必要な資金対策を協議する国連の第3回シリア人道支援会合が31日、クウェートで開かれ、各国は計38億ドル(約4500億円)の支援を表明した。ロイター通信が報じた。

 日本からは中山泰秀外務副大臣が出席し、トルコに逃れたシリア人難民支援として新たに3億7千万ドル(約440億円)の支援を表明した。
 米国は5億700万ドル、クウェートが5億ドルの資金拠出を表明した。国連はことし1年で約84億ドルの支援が必要とみている。
 国連の潘基文事務総長は「シリア人5人のうち4人が貧困や苦痛、欠乏の中で生活している」と演説した。


”シリア人道支援に計4500億円 国連会合で各国、日本も拠出”.北海道新聞.2015.
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/international/international/1-0118242.html,(参照2015-4-17)

2011年に始まった民主化運動(いわゆる「アラブの春」)以降,政府軍・
ISILやアルカイーダ等の武装集団・反政府勢力など,今現在も複数の組織が入り乱れて戦闘を行っているシリアについて,このたび新たな人道支援が国連で決定されました。

4年間のシリア国内での死者は22万人を超えると推定されており,それをはるかに上回る難民に対しては大規模かつ国際的な人道支援が必要不可欠だといえます。新たに約束された支援額はシリアのGDPに対して5%にものぼる巨額のものです。ひとまず今回の決定は評価されてよいでしょう。


さて今回は,このような人道支援が持つ役割について,「テロとの戦い」の観点から考察したいと思います。このような人道支援活動は,人道的な理由のほかに,テロ組織を弱体化させる役割も持っているのです。

ではなぜこのような「人道支援」がISILやアル・カーイダといった武装集団に対して効果があるのか。それは「武装集団の人的資源(≒戦闘員)がどこから来るのか」について考えると見えてきます。


国際テロ組織「アル・カーイダ」を母体としつつ,
虐殺や人身売買をはじめとする極めて残忍な行為によって2014年2月にアル・カイーダから絶縁を表明されたISILは,「従わない者は敵だ」という方針のもと,この1,2年の間に急速に勢力を拡大させてきました。
英ロイター通信国連の報告などによると,
占領地の油田から得た原油や天然ガスの密輸や,新たに占領した都市の銀行からの強奪など,非合法な手段によって安定的な資金の調達に成功し,今やISILは「史上最も裕福なテロリスト」とも呼ばれています。


このように豊富な資金源を持つISILは,金にものを言わせて
月給は約72万円」(NEWS ポスト7)とも報道される高額の給与を戦闘員支払うことで,支配地域の内外から広く人員を募集しています。戦禍によって現地で職にあぶれた若者(難民)が,生活のためにISILに参加せざる負えなくなっていることは想像に難くありません。

また
米CNNの報道によると,ISILの戦闘員のうち2万人以上が外国から参加していると推計されています。そのようなISILに参加する外国人戦闘員の中には思想的に共感を覚える者ももちろんのこと,米国務省の分析では経済的理由も参加の重要な要因と見られています。例えばISILへの参加が最も多いのはチェニジアからですが,2011年の「アラブの春」以降に停滞した経済のために,チェニジアでは15%以上という高い失業率が続いています。すなわち,経済的な理由から高給を謳うISILに「出稼ぎ」に来る外国人が多いということです。


上記は特にISILに限った話ではなく,アル・カーイダやその他のテロ組織においても同様に,経済や社会に関する不満に付け込んで勧誘する手法を採っていることが知られています。つまり貧困層といった社会的弱者は,あらゆるテロ組織にとって格好のリクルート対象なのです。同時に,戦災による難民や不況によって職にあぶれた若者は,自身の生活のために非合法な手段に頼らざる負えないとも言えます。


ここまでくれば,勘の良い方はもう気づかれているのではないでしょうか。
難民や貧困層などの社会的弱者が生活のためにテロ組織に参加する。
つまり逆を言えば,食糧・医療・住居の提供,雇用創出と産業基盤のためのインフラ整備,教育・人材育成支援など,継続的な人道援助によって安定的かつ平和的な生活を供給することができれば,直接的にテロ組織に流れる人員を低減させることができます。食べるもの,職業,戦闘のない生活があれば,少なくとも経済や安全上の理由からテロ組織に参加する必要性はなくなるでしょう。

実際に近年では,戦闘を終結させることよりも,「銃後の地域の秩序をどのように回復・形成するか」ということのほうに重点が置かれ,
国際政治分野では盛んに研究されています。たとえ一つのテロ組織を壊滅させたところで,安定した生活基盤がなければすぐに第二,第三のテロ組織に人が流れてしまうだけだからです。その意味では,日本が行うような人道支援活動は,地域の安定に大きく貢献しているといえるでしょう。
もちろん,まずは戦闘を終わらせないことには話が始まりませんが,それだけでは根本的な解決にはならないのです。戦闘の終結と,戦後の秩序の回復の,両方を考える必要があります。

「人の心」を巡る現代戦争
http://dragoner-jp.blogspot.jp/2014/09/blog-post_19.html

継続的な人道支援によって,戦禍に脅かされない平和で秩序だった生活に多くの人が一日でも早く復帰できることを,心から祈っています。
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